掲載誌情報
掲載誌 Web Creators 2002/03
タイトル WEBサイトのユーザビリティに関して
対応部署 株式会社ワイスリー 東京オフィス
対応担当 鈴木 一弘

1. 現状のユーザレベル、ユーザーのために必要であるとされるユーザビリティにはどういった点があるとお考えでしょうか?
 
多様なユーザ閲覧環境(携帯電話、PDA端末からのアクセスなど)に対応可能であること
サイトが提供しているサービスがわかりやすく、直感的なユーザナビゲーションができていること
理解が容易なインターフェイスであること
快適なアクセス速度で閲覧できること
クライアント様が快適にサイトを運用できる管理機能があること
一般ユーザの中には、我々開発者が考えている以上にWEBというものに慣れていない方々も多く、我々開発者が常識として捕らえている機能・構造でも、一般ユーザには馴染みが薄いという場合もあります。例えば検索フォームを見てそれがどういった機能なのかすぐに理解できるとは限りません。ボタンの設置時においても、テキストボックス + ボタンのみでなく、一言コメントを添えることで、どういった機能なのかをユーザに理解してもらえると思います。
2. また、具体例などございましたらお聞かせください。(例えば、検索機能で『カタカナ読みは「ヴァン」「バン」どちらにも対応』、ECサイトなら『他商品との性能価格の比較が容易』など)
 
ピクトグラムを活用した直感的に理解可能なコンテンツメニュー
ターゲットユーザの年齢層に応じたデフォルトフォントサイズの設定
ゾーニングによるコンテンツの適切な分類
文章の可読性を考慮したカラーリング
適切な画像(写真など)の使用
多様な閲覧環境(モニタ解像度の違いやPDA端末からのアクセス)に応じた対応
プリントアウトを考慮した画面設計(画面サイズで対応するか、プリントアウト用の画面を設置するか)
モデムでも快適にアクセスできるファイル容量
対象とするターゲット層によっても異なりますが、例えば一般ユーザを広く対象とする場合には、専門用語や英語はなるべく使わないようにしています。日常使っている言葉に置き換えることでユーザに馴染みやすく理解しやすいものになります。上記の検索フォームにしても、『Search』ではなくたとえば『商品を探す』と表示したほうが分かりやすくなります。また、ユーザーが戸惑うかもしれない部分に関しては近くにヘルプを表示するボタンをつけるなどの工夫をしています。
3. これらユーザーの反応や現状で求められるユーザビリティの情報は、どういった方面からリサーチされていらっしゃるのでしょうか?(雑誌、Webサイトのアンケート、スタッフなどの関係者、等)
 
サイトを利用しているユーザ様からのメール
アクセスログの変化
モニタユーザや身近な人からの使用感のヒアリング
自分の経験値というのが一番大きい部分ですが、友人・知人といった特にWEBに関わっていない方達の意見というのはとても参考になります。開発者とは違った観点から指摘していただけますし、意外な発見や問題点も見えてきます。
4. 御社がWeb制作を行う上でいちばん重視しているユーザビリティを教えて下さい。(ビギナーユーザーでもわかりやすい、ユーザーの手間や負担を徹底して省く、など)
 
サイトが提供するサービスが明確でわかりやすく、ターゲットとなるユーザ様が快適に利用可能なものであること。
明確なターゲット設定とそれに基づくユーザインターフェイスの設計。
例えば、ブラウザの機能を必要としないコンテンツの作成など。印刷が必要となることが想定される画面には『プリントボタン』を設置していますが、「ファイルメニュー」 → 「印刷」 という手順を知らないビギナーユーザも意外に多くいるものです。ユーザーは必ずしもパソコンの使用経験が長いとは限りません、むしろインターネットを始めたばかりというという方は多いと思われます。
このように、そのターゲットユーザに応じたインターフェイスの設計が、最も大切だと思います。
5. 御社が実際の業務経験で得たユーザビリティのコツ、ノウハウなどをお聞かせください。(例えば、『直接入力よりもプルダウンメニュー選択式の方がいい』など)
 
サイトコンテンツのインフォメーションアーキテクツを明確にすることがユーザビリティを向上させる大前提となります。提供するサービスを絞り込み、コンテンツのプライオリティを明確にすることで、より直感的にユーザにアピールできるサイトになると考えます。
案件によって異なりますが、必ずしも目的のページへワンクリックで遷移できる必要はないと考えます。ある程度の手順を踏んで遷移したほうがサイト内の自分の位置(現在開いているページの位置)を把握しやすい場合もあります。特にカテゴリをまたいで遷移する場合や、他のサイトへのリンクなどはユーザが自分の位置を見失いがちです。このような場合には間にワンクッション(例:説明ページを入れるなど)置くようにしています。ナビゲーションに関しても全てのメニューを表示するのではなく、あえて「隠す」こともあります。一画面に表示する最適な情報量を見極めて、必要なものとそうでないものを分類していく。基本的なことですが、とても大事な部分だと考えており、常に心がけています。
6. 逆に、「ユーザーを配慮したつもりが蓋を開けてみたら不要だったポイント」などもあればお願いします。(『せっかく組んだD-HTMLがうまく機能していなかった』など)
 
ウェブは雑誌などと比較した場合、「さっと目を通す」メディアであるため、特にテキストコンテンツの扱いには注意しています。親切のつもりで付けた注釈文が、逆に画面の見通しを悪くしていたケースもあります。
「戻る」ボタンの機能で認識の相違があった場合があります。「戻る」という言葉からすると「一つ前の画面を開く」となりますが、WEBの構造上の観点から見ると、「現在開いている画面のカテゴリトップ画面へ戻る」としても間違いではありません。JavaScriptが使用できない場合は後者にせざるを得ません。ある程度サイトの構造を把握しているユーザであれば問題ないと思いますが、ビギナーユーザにとっては戸惑う部分と思います。
7. コスト・制作期間といったクライアントの希望とユーザビリティとの兼ね合いで苦労されている点などありましたらお聞かせください。
 
DHTMLやFlashを使用したインターフェイスを利用する場合、ブラウザ間で統一をはかる際に予測しがたい障害が発生することがあります。多様なブラウザでの動作確認は工数的にも負荷がかかります。
ユーザビリティというのはカテゴリ分けのプラン段階から考えていかなくてはいけないものです。目的のページはどこにあるのか、どう辿ればいいのかをユーザーに分かりやすいようなサイトプランを練りますが、やはり制作スケジュールとの戦いではあります。
8. 今後、積極的に追求していきたいユーザビリティや改善点などをお聞かせください。
 
Flashベースのユーザインターフェイスが普及してくると、今までにはなかったサイト体験が可能になるのではないかと期待しています。
http://www.macromedia.com/software/flash/special/inspiration/webapps/
上記マクロメディア社のサイトより紹介されているサイトを閲覧すると、ブラウザソフトのデフォルト入力フォームと比較してかなり多様なインターフェイスが作成できることが確認できるかと思います。
今後、インターフェイスデザインがユーザビリティ向上のために果たす役割は、より重要となってくるのではないでしょうか。
フォントサイズに関して、我々が思っている以上に「小さい」と感じているユーザーが多いようです。特に高齢者の方にはスタイルシートで固定したページは閲覧しにくいことが多いと思います。今後はフォントサイズを可変させたりといった工夫をもっと取り入れていきたいと考えています。

   

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