AI Future Talks

AI時代、日本は「デジタル小作人」で終わるのか――数学の原理を知り、AIを使う側から「胴元」へ(後編)

作成者: 皆本 晃弥 氏|Sep 1, 2026, 2:00:03 AM

 

 

 

 

【後編のエッセンス】

 

コンピューターやAIが示す答えを、無条件に正しいと信じてはいけない――皆本晃弥氏の研究と教育の根底には、この姿勢がある。専門とする「精度保証付き数値計算」は、コンピューターが導き出した近似解の正しさや、その解が実際に存在する範囲を数学的に保証しようとする研究だ。つまり、単に計算結果の桁数を保証するのではなく、「そもそも答えが存在するのか」「出てきた答えは本当に意味のある解なのか」を問う研究でもある。 

一方、生成AIについては、なぜ現在の仕組みがうまく機能しているのか自体が十分に解明されておらず、ハルシネーションを完全になくすことも難しいと指摘する。だからこそ企業には、AIが「何をでき、何ができないのか」を理解し、自分たちが納得できる範囲で活用する姿勢が求められる。その上で、AIプランナー、AIエンジニア、AIサイエンティストなど、それぞれの役割を担う人材を育てることが重要になる。最終的に目指すべきは、AIを使うだけの「デジタル小作人」ではない。技術の原理を理解し、独自の価値を生み出し、プラットフォームを提供する「胴元」になることだ。  

 

 

【後編のキーメッセージ】

 

キーメッセージ① 

コンピューターやAIの答えを、鵜呑みにしてはいけない。AIの出力には限界や不確実性がある。重要なのは精度の数字をそのまま信じるのではなく、結果を自分自身が理解し、納得できるかを判断することだ。 

 

キーメッセージ② 

企業のAI活用は「何ができるか」を知ることから始まる。AIの得意不得意を理解し、自社の課題にどう活用できるかを考えるAIプランナーを起点に、人材を階層的に育成していくことが重要である。 

 

キーメッセージ 

「デジタル小作人」から脱し、価値を生み出す側へ回る。AIを使うだけの労働者にとどまらず、数学や技術の原理を理解し、独自のアルゴリズムを考え、目的に合ったデータを見極め、整え、特徴量を設計しながら、新しいサービスや価値を生み出す側を目指すべきである。